
集合住宅を選ぶとき、間取りや家賃、駅からの距離は比較しやすい一方で、断熱性や省エネ性、建物の耐久性は図面だけでは分かりにくいものです。
しかし、毎日の暑さ・寒さ、光熱費、結露の起こりにくさ、室内での過ごしやすさを考えると、建物の基本性能こそ長く暮らしの満足度を左右します。
むとう工務店では、注文住宅で培ってきた高断熱やパッシブ設計の考え方を集合住宅にも生かし、住む人が一年を通して快適に暮らせる住環境を目指しています。
賃貸の集合住宅では、入居者が断熱材や防水シートを後から変えることはできません。
だからこそ、計画・施工の段階でどこまで丁寧に性能をつくり込むかが重要です。
室温を設備の力だけで調整するのではなく、まず建物そのものが熱の出入りを抑え、そのうえで効率のよい設備を使う。
むとう工務店では、建築時の費用だけでなく、住み始めてからのエネルギー消費やメンテナンスまで見据えた住まいづくりを大切にしています。
周辺環境を読み、日差しと風を味方につける設計
今回の計画地は、周囲に3階建ての建物があり、季節や時間によって影の落ち方が大きく変わる敷地です。
そこで、むとう工務店では日影図を作成し、建物の影が敷地内をどのように移動するかを事前に検討しました。
さらに現地で太陽光の入り方や風の通り道を確認し、窓の位置や住戸内のゾーニングへ反映しています。
年間を通して日当たりを得にくい部分には玄関を置き、浴室などの水回りは建物の中央部へ配置。
LDKをはじめ長く過ごす居室には、限られた条件のなかでも少しでも自然光を取り込めるよう、周囲の建物との関係を読みながら開口部を計画しました。
窓は数を増やせばよいわけではありません。
採光、日射熱、外からの視線、家具配置、断熱性を総合して決めることが大切です。
敷地を丁寧に読み解き、必要な場所に必要な窓を設ける姿勢が、この集合住宅の快適性を支えています。
冬の日差しは室内を暖める自然の熱源となる一方、夏の強い日差しは冷房負荷を増やします。
また、周辺建物の配置によっては、同じ方角でも階や時間帯で光の入り方が異なります。
日影図と現地確認を組み合わせるのは、図面上の方位だけでは読み取れない条件を把握するためです。
得られる日差しを生かしながら、窓から逃げる熱や夏の過熱にも配慮することで、機械設備に頼りすぎない室内環境を目指しています。

二重の断熱層で、外気の影響を受けにくい住まいへ
屋根は、垂木間にミラフォームラムダ60mmを施工し、さらに外側にも同じく60mmを付加する二重断熱です。
合計120mmの断熱層を設けることで、夏に屋根面が受ける強い熱や、冬の冷気が室内へ伝わるのを抑えます。
屋根の下には、高耐久透湿ルーフィングシート「ウートップ ハイムシールドルーフ」を採用。
雨水の侵入を防ぎながら湿気を外へ逃がし、見えない部分から建物を守ります。
壁は、高性能グラスウール100mmの充填断熱に、ネオマフォーム45mmの付加断熱を組み合わせています。
柱などを通して熱が出入りする「熱橋」を外側の断熱材で覆い、壁全体の断熱性能を高める構成です。
外装には厚みと耐久性を備えたALCパワーボードを使用。
室外側にはウルトの透湿防水シート、室内側には可変調湿型の防湿気密シート「ウートップ ヴァリオ ツヴァイ」を施工し、雨水、湿気、空気の動きを層ごとに制御します。
床にもネオマフォーム90mmを採用し、足元から逃げる熱を抑えました。
ウルトはドイツ発の建築資材ブランドで、採用には相応のコストがかかります。
それでも、むとう工務店では完成後に隠れてしまう防水・防湿・気密の層を重視しています。
断熱材の厚さだけでなく、湿気を適切に扱い、断熱材が性能を発揮しやすい状態を長く保つことまで考える。
それが、耐久性と快適性を両立させるための仕様です。
断熱、防水、防湿、気密は、それぞれ別々の材料でありながら、建物の中では連続した一つの仕組みとして働きます。
わずかな施工の途切れが熱や湿気の通り道になり得るため、材料の性能だけでなく、取り合い部分まで丁寧に納める施工品質が欠かせません。
むとう工務店では、熟練した大工の技術と性能計算を組み合わせ、設計上の性能を実際の建物へ落とし込んでいます。

4住戸すべてで省エネ基準を達成
性能は材料名だけで判断せず、住戸ごとに計算して確かめています。
一次エネルギー消費量計算の結果、101号室、102号室、201号室、202号室はいずれも建築物エネルギー消費性能基準を達成しました。
外皮平均熱貫流率は、101号室が0.19W/㎡K、102号室が0.21W/㎡K、201号室が0.18W/㎡K、202号室が0.19W/㎡Kです。
数値が小さいほど熱が逃げにくいことを示しており、計算上、各住戸で優れた断熱性能が示されています。
家電などの「その他」を除いた一次エネルギー消費量で見るBEIは、101号室0.65、102号室0.61、201号室0.66。
太陽光発電を備える202号室は、省エネ基準に対して0.26という計算結果です。
BEIは基準となる消費量に対する設計値の割合で、1.0を下回るほど基準より消費量が少ないことを表します。
なお、これらは一定の生活条件を想定した計算値であり、実際の使用量は人数や暮らし方、機器の使い方によって変わります。
202号室には11.08kWの太陽光発電設備を計画し、電気ヒートポンプ給湯機、温度交換効率89%のダクト式第一種換気設備などを組み合わせています。
住戸の広さや設備構成が異なっても、一戸ずつ外皮と設備を入力し、性能を可視化している点も、むとう工務店の高性能集合住宅の特徴です。

部屋干し中心の暮らしに応える、実用的な設備
高性能な建物でも、暮らし方に合わなければ便利とはいえません。
室内干しを選ぶ生活にも対応できるよう、各住戸にはガス衣類乾燥機「乾太くん」の設置を計画しています。
天候に左右されにくく、洗濯物を短時間で乾燥できるため、室内に長時間干す負担も減らせます。
洗う、乾かす、しまうという一連の家事を効率化できる設備です。
洗面化粧台は幅750mmのゆとりあるサイズ、浴室は1坪タイプを計画しています。
賃貸住宅であっても、水回りの狭さを我慢せず、毎日の身支度や入浴を落ち着いて行えるよう配慮した計画です。
計算書上でも、高断熱浴槽、節湯水栓、LED照明などを取り入れ、快適性と省エネルギーの両面を整えています。
2階の賃貸住戸にはロフトを設けています。
季節用品や日用品を置く収納として使えば居室をすっきり保てるほか、読書や音楽、コレクションを楽しむ趣味のスペースとしても活用可能です。
限られた床面積を立体的に使い、暮らす人が自分らしい居場所をつくれる楽しさがあります。

入居者にもオーナーにも価値が続く集合住宅
断熱性の高い住まいは、外気温の影響を受けにくく、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を保ちやすくなります。
部屋ごとの大きな温度差を抑えやすいことは、日々の快適さにつながり、冷暖房に使うエネルギーの削減も期待できます。
また、防水・防湿・気密まで丁寧に設計・施工することは、壁内結露などによる劣化リスクを抑え、建物を長く健全に保つうえでも重要です。
入居者にとっては、快適な温熱環境、使いやすい設備、光熱費に配慮した暮らしが魅力になります。
オーナーにとっては、他の賃貸住宅と違いを伝えやすく、長期的な入居満足や建物価値を考えた選択肢となります。
見た目の新しさだけでなく、日影解析、窓の配置、断熱材、防水・気密部材、省エネ計算、生活設備までを一つにつなげて考えること。
それが、むとう工務店の「高性能集合住宅」です。
集合住宅にも、戸建住宅と同じように性能を追求する。
むとう工務店では、敷地の条件と住む人の生活を丁寧に読み解き、省エネルギーでありながら、夏も冬も心地よく、毎日を楽しく過ごせる住まいを形にしています。


